【2023年版】ベーシックインカムは日本で実現可能か?

ベーシックインカムは行政サービスの効率化

昨今、ベーシックインカムの議論をちらほら目にする機会が増えました。

ベーシックインカムとは児童手当や基礎年金、雇用保険や生活保護のような行政支援サービス(社会保障)を廃止・一元化することで、毎月国民一人一人に一定の現金を支給する政策です。

毎月の現金給付という一見するとキャッチ―な政策のためにじわじわと注目をあびている政策であり、ネット番組など(なぜか地上波ではほとんど取り上げられない)でこの言葉を目にした人も多いのではないでしょうか。

ちなみにボクはベーシックインカムについては今の日本の政治システムを鑑みたうえで懐疑的な立場です。
その理由をベーシックインカムの利点や課題と併せて解説していきます。

ベーシックインカムが導入されると人は働かなくなる?

これまでベーシックインカムを議論する際には決まって「労働意欲が落ちるのでは?」であったり「財源確保案」などが中心に論争が行われています。

しかし、ベーシックインカムが導入されることによって人々の労働意欲は低下するかの議論についてはすでに様々な研究者たちによって結論が示されております。

カナダのマニトバ州では総額1700万カナダドル(現在の64億円に相当)を投入して、1974年から約4年間、ベーシックインカムの導入テストが行われましたが、分析の結果は労働時間は男性で1%、既婚女性で3%、未婚女性で5%下がっただけで、懸念されるような労働意欲の低下は見られませんでした。

文化の異なる日本でまったく同じ結果になるとは断言はできませんが、勤労意欲の高い日本ではむしろこの数字は減少傾向にあるのではないかと考えられます。

この議論は「だろう論」を脱却することはできませんが、諸外国の事例をベースに議論をするならば「労働意欲が落ちるのでは?」というのは個人の想定の枠を超えることはありません。

膨大な財源はどこから確保する?

ベーシックインカムの財源を議論する際、基本となる数字は100兆円が示されます。

ちなみにこの数字は国民一人に毎月7万円程度の現金支給をベースに議論がされた場合です。
先述した通り、ベーシックインカムとは行政支援サービス(社会保障)の廃止・一元化をすることで財源を一つにまとめ、支給するものです。

この100兆円論はベーシックインカムが議論され始めた初期の案であり、成熟しつつある昨今では、

  • 一定の増税を伴うことで7万円支給
  • 未成年、成人で支給額に差をつけることで必要となる財源を減らす
  • 年齢問わず全体的に支給額を下げる

などなど様々な案が飛び出しています。

極端な話をすれば、国民一人毎月1万円のベーシックインカムであれば、月に1.2兆円、年間予算は13.4兆円となります。
これなら政府として支給できない金額ではありませんが、毎月1万円では社会保障の一端を担う政策としての効果は十分に生かすことはできません。

このように、支給額ありきの議論ではなく何を目的に何を削っていくら支払うかによってベーシックインカムの在り方は大きく異なりますので、この目的論を先に明確にする必要があります。

それらを鑑みた時、本質的な議論はベーシックインカムでどのような補償を構築するかを議論することで自ずと適切な財源額が導かれてくるものです。

それでもベーシックインカムに懐疑的な理由

このように、現在議論されているベーシックインカムの課題や性質については概ね賛同の立場ではあるのですが、大きな問題はその日本の政治システムの在り方がベーシックインカムの利点を殺してしまうのではないかという点です。

繰り返しになりますが、ベーシックインカムは行政支援サービス(社会保障)を廃止・一元化することで業務や組織を効率化することです。

例えば、児童手当と生活保護と雇用保険を一元化し、財源を一つにまとめたとします。
その財源をベーシックインカムとして同額を全国民に支給したとしても、10を10で支給するだけでコスト的なメリットはありません。

しかし、ベーシックインカムでは行政サービスを一元化することでシステムの統合、円滑な運用により人件費やランニングコストの削減を目的の一つとしています。

ボクが懸念しているのはこの点であり、今の政治システムでは業務が減ったからと言って公務員を即時に削減することはできません。

これは制度上の話だけではなく、行政では一人の人間が複数の業務を行うために、仮に生活保護がベーシックインカムに置き換えられたからといって、これまで生活保護業務にあたっていた職員は他の業務も担っているため、いなくなっていいという簡単な話ではないからです。

そこで、公務員の削減を実現するには、中期的な人員配置プランから公務員の採用を絞りつつ人材の再配分を適時行う必要があります。

こう書くと簡単そうにも思えますが、職員数の削減は職員組合や議員でも反対派が多く、地方自治体でも財政破綻寸前まで追い詰められやっと着手して実現してきた例しか見たことがありません。

今の政府のスタンスでは、結果として既存の人員配置は変わらず、むしろ新たなベーシックインカム業務に掛かる人員増が行われることで本来であればシステムの一元化でコスト削減を掲げていたはずが逆に政府の肥大化によるコスト増なんてことになりかねません。

これは現政権の弱点であり、この懸念点をクリアすることができなければベーシックインカムの本質的な恩恵は享受することができません。

以上がベーシックインカムについて、今の日本の政治システムを鑑みたうえで懐疑的である理由です。

時折ベーシックインカムは社会主義的政策と言われますが、ベーシックインカムの本質は政治システムの効率化、スリム化です。
それは同時に政治の権限を弱めることにも繋がるため、性質的には自由主義的思想になります。

分配に重きを置く岸田総理。政府によるベーシックインカム議論はもう少しお預けになりそうです。

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明ヶ戸亮太(あけど亮太)
1981年生まれ:前 川越市議会議員(三期)・広告会社代表取締役・ICTコンサルタント・ファイナンシャルプランナー / JAPAN MENSA会員 / フィジーカー(APF大会、アスリートモデル部門優勝)
マルチタスク・ラボ
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著書:マルチタスク思考

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※川越市のプロフィール(川越市HPより抜粋)
川越市は、埼玉県の中央部よりやや南部、武蔵野台地の東北端に位置し、109.13平方キロメートルの面積と35万人を超える人口を有する都市です。
遠く古代より交通の要衝、入間地域の政治の中心として発展してきた川越は、平安時代には桓武平氏の流れをくむ武蔵武士の河越氏が館を構え勢力を伸ばしました。室町時代には、河越城を築城した太田道真・道灌父子の活躍により、扇谷上杉氏(おうぎがやつうえすぎし)が関東での政治・経済・文化の一端を担うとともに、河越の繁栄を築きました。江戸時代には江戸の北の守りとともに舟運を利用した物資の集積地として重要視されました。
大正11年には埼玉県内で初めて市制を施行し、昭和30年には隣接する9村を合併し現在の市域となり、平成15年には埼玉県内で初めて中核市に移行しました。
川越市は、都心から30キロメートルの首都圏に位置するベッドタウンでありながら、商品作物などを生産する近郊農業、交通の利便性を生かした流通業、伝統に培われた商工業、豊かな歴史と文化を資源とする観光など、充実した都市機能を有しています。現在も、埼玉県南西部地域の中心都市として発展を続けています。
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