大阪都構想はシルバーデモクラシーの被害者か?

Arut ThongsombutによるPixabayからの画像

大阪都構想、二度目の否決

大阪市を廃止して四つの特別区に再編する「大阪都構想」の是非を問う住民投票が11月1日に実施、反対多数となり市の存続が決まりました。

その差は賛成675,829票に対して反対692,996票と僅差の否決。

大阪都構想の是非を問う住民投票は2015年にも実施されており、その際も僅差で否決となっておりました。
しかし今回は公明党の支持がありましたので、組織票を考えれば前回の僅差を埋めるだけの下準備は整って挑戦した住民投票です。

ではなぜ今回も前回に引き続き否決となってしまったのでしょうか。

前回との違いは何か

客観的な立場で拝見していた大阪都構想住民投票ですが、メディアにしても関係者の情報発信も2015年の頃よりも具体的になっていたなぁというのが率直な感想です。

前回、賛成派の発信はこれまでの大阪市と大阪府との関係による負債の解消が中心でしたが、今回は大阪都構想が実現した際に生み出される利点が数多く発信されていました。

そのため今回の論争では賛成派も反対派も具体的な数字を用いていましたが、数字を用いた論争は切り抜くポイントによってどんな内容でもそれなりにキレイに見せることができます。

例えば子どもを外で元気に遊ばせようという方針に対して賛成派は体力の向上を体力測定の結果から示すことができるし、反対派は怪我の件数や学業レベルの低下を数値化して示すことができます。

今回は大阪都構想も熟成されたことから具体的に数字を用いた議論が展開されたため、結果として見ている方は「まぁ双方言い分あるよね」と、内容の良し悪しが付けづらい状況でした。

2015年の大阪都構想では橋下当時大阪市長が過去の負債を解消するために、具体的に数値化しにくいものであってもまるで子どもがロマンを語るように目を輝かせて大阪都構想の魅力を訴えていました。

事実、府と市の二重行政は住民の目にも見えていた分、橋下元市長の言葉は多くの住民の心に響き、他政党すべてを敵に回しても僅差まで接する結果となりました。

しかし、この10年で府と市の関係は改善、住民からしてみれば大阪都構想の必要性が実感しづらくなってしまったのではないでしょうか。
図らずも橋下氏率いる大阪維新の会が大阪都構想の一番の敵となりました。

敗因はシルバーデモクラシー?

これは出口調査の結果です。

大きくを差を開いているのは70歳以上、その他の世代では僅差となっており20代から50代は軒並み賛成多数となっています。

その為、SNS上では前回に引き続き今回の結果もシルバーデモクラシーの弊害であるといった発言もチラホラ目にします。
シルバーデモクラシーとは、少子高齢化が進む社会において有権者に占める高齢者の割合が増加し、高齢者の政治への影響力が大きくなる状態のことを指します。例えば20代と60代が同じ投票率でも人数比率の多い60代の人数が勝る現象です。

しかし本当に今回の結果はシルバーデモクラシーによって生み出された結果なのでしょうか。

上記の数字はパーセンテージですが、この数字を人数換算して各世代100人と考えてみましょう。

賛成=345人 反対=355人

このような結果となります。

若い層には支持されているといった声も僅差であり、人数比率がバランスよく整えられていたとしても結果は否決となっていたことになります。

ボクも大阪都構想には賛成のスタンスですが、否決の原因を「シルバーデモクラシーのせいだ!」と言うことは本来改善すべきポイントから目を背けることと同義であり、非常に危険な考え方です。

おわりに

前回の大阪都構想住民投票の結果を受け橋下さんは政界を引退しました。

そして今回の大阪都構想の敗北を受け、今度は松井市長が今期での引退を宣言しています。

維新の悲願は今回も大阪市民に受け入れられなかった結果となりましたが、吉村大阪府知事は今後大阪都構想の提案はしないと明言しています。

日本の形を変えるであろう大阪都構想論争については、ここで一つの終着を迎えました。

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