【選択的夫婦別姓】夫婦は同じ姓であるべきか?

ErikaWittliebによるPixabayからの画像

選択的夫婦別姓、7割が賛成

早稲田大学の棚村政行教授と市民団体が共同でインターネットを通じてアンケートを行った結果、7割の男女が選択的夫婦別姓に「賛成」と回答しました。

以下の表は法務省調べの選択的夫婦別姓制度のアンケートの推移です。
この表を見ると徐々に夫婦別姓に対して国民の理解が浸透してきているのが分かります。

では、そもそも選択的夫婦別姓とはどのような制度なのか?少し深掘りしてみましょう。

別表「選択的夫婦別氏制度に関する世論調査結果(総数比較)」

明治時代に夫婦同姓(氏)が法整備される

夫婦の姓について調べてみると、時代は明治までさかのぼります。

・明治8年2月13日太政官布告→氏の使用が義務化される。
・明治9年3月17日太政官指令→妻の氏は「所生ノ氏」(=実家の氏)を用いることとされる(夫婦別氏制)。
 ※明治政府は,妻の氏に関して,実家の氏を名乗らせることとし,「夫婦別氏」を国民すべてに適用することとした。なお,上記指令にもかかわらず,妻が夫の氏を称することが慣習化していったといわれる。
・明治31年民法(旧法)成立→夫婦は,家を同じくすることにより,同じ氏を称することとされる(夫婦同氏制)。
法務省:我が国における氏の制度の変遷 参照

このように明治9年には一度夫婦別姓(氏)制度が導入されているんです。
ちょっと意外かもしれませんが、実は日本はもともと夫婦別姓だったんです。

しかし、当時の日本は「男が家庭の中心」という仕組みがあり(この詳細は長くなるので後日ブログで記載します)、結婚と同時に大半の女性が男性氏に性を変えていました。

その後、明治31年の1898年から日本では夫婦同姓が制度として定められており、120年以上が経ちます。

120年という長い時間をかけて日本では様々な制度が変化を繰り返しています。一概に「歴史がある」の一言で選択的夫婦別姓を批判することは現実的ではありませんよね。

選択的夫婦別姓反対派の意見

第750条:夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。

これは民法に記載されている条文です。ここからも夫婦が同性を名乗るのは民法で定められていることが分かります。

同時に、家族(家庭)に一つのタグ付けの意味合いが絆を生み出すものとして同性を名乗る必要性が多く語られることがあります。

では家族(家庭)は民法に従い同性であることで絆を生み出し、逆に同性でなければ絆が生み出せないのでしょうか。

これは選択的夫婦別姓の賛成派、反対派が議論をする際にしばしば取り上げられるテーマですが、ボクはこの答えは「分からない」としか言えないと考えます。

まず、絆があればどんな効果が生み出されるのか。
例えば絆があればどんな困難も乗り越えられるかといえば昨今増加傾向にある離婚率から見ても、同性夫婦=必ずしも絆があるとも言えないし、児童虐待やDV、貧困の問題は絆があっても乗り越えることはできません。

逆に夫婦が別姓であっても絆が失われないという根拠もないので、この議論は検証材料を揃えるところから始めなくてはいけません。

ではどうすれば検証材料を揃えることができるのか、それは実際に実施した結果を数値的に収集してみないことには何とも言えないといのが正直なところでしょう。

女性は家で家事に従事すべきか?

明治時代は「男は外で働き、女は家で家事」といった時代でした。

しかし、実は当時から女性も働いており、日本の産業を支えていた製糸業務や電話交換手、エアガール(客室乗務員)で多くの助成が活躍していました。

ではなぜ先述したように当時のイメージの「男は外で働き、女は家で家事」といった認識が植え付けられたのでしょうか。
それは男性の家事や育児参加率の低さが原因ではないかと考えます。要するに女性しか家事や育児をしてこなかったため、「家事=女性」が変化して「女は家事」と変化した、、、と、男の立場からしみてたら耳の痛い話ですが。。。

社会は変化しました。この40年で女性の就業率は約52%から約70%と大きく上昇しています。

もはや「女は家で家事」なんて言っていたら貴重な生産力を眠らせてしまうことになります。ただでさえ日本の人口減少による労働力不足は深刻な問題となっており、労働力の多くを外国人に頼っている状態です。

女性活躍社会の実現に向けて

これからは女性にも社会で活躍しやすい環境を整備していかなくてはいけません。そのためにも夫婦別姓は欠かすことのできない制度変更です。

反対派からは夫婦別姓は混乱を招くであったり不便であったりと言われますが、結婚を機に性を変えることはビジネスの場ではより多くの不便やコスト的負担が生じます。

まず、姓を変えるという事は結婚を周知することになります。プライベートの多様化が進んでいる中で、結婚という極めてプライベートな事柄を周知する必要はありませんし、中には「これを機に会社を辞めてしまうのでは」と考えるクライアントもいます。
また、名刺やプレート、社員証などの再発行と細かいながらもコスト面でも数値的負担が生じます。

「日本の伝統を無くすな」という反論もありますが、きっとその人はいつも着物を身に付けて薪で風呂を沸かしているのでしょうが、伝統が万能なわけではありません。

あくまでも選択的夫婦別姓は「選択制」であり、必要であれば同性にすればいいし、別姓の方がメリットがあると感じる夫婦は別姓にすればいいだけの話です。国が同性を強制する主張は感情論意外にはありません。

選択的夫婦別姓の実現には民法改正が必要となりますが、感情や時代に沿わない伝統に振り回されず、日本社会の底上げには各個人がベストパフォーマンスを打ち出せる体制を作り上げることが理想です。

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