宗教トラブル解決に向けて本気で考えて出た結論
与党は関係を断ち切ることはできず、野党は政局に奔走。
高額献金や宗教二世などの宗教トラブルが明るみになりおよそ一ヶ月が経ちました。
その間、政治はどのように動いたのかと言えば、与党はいまだに旧統一教会との関係を断ち切る明確な発言をせず、野党は与党と旧統一教会との関係追求に奔走しています。
あれ?と思うのは、今回の一連の事件から宗教の在り方が注目されました。それにより問題視されているのは「政治家の資質」だったのだろうか?
答えはNOです。今回問題となっているのは「脅迫やマインドコントロールともいえる高額献金要求」であったり、「生まれながらに信仰を強要される子どもたち」です。政治家とブラック宗教(※)の関係についてはあくまでも背景の話です。
※すべての宗教団体が悪だとは思いません。しかし、倫理観からかけ離れている運営を行っている宗教組織をブラック企業になぞらえブラック宗教と表現しています
しかし、昨今のニュースを見ると取り上げられる話題は「〇〇議員は過去に旧統一教会とこんな関係にあった」ばかり。
そしてそのニュースに対して飛び交う情報は「〇〇議員は議員辞職すべき!」と言ったものばかりです。
ボクの友人の中にも旧統一教会の信者の方がいるかもしれないし、もしかしたら選挙を応援してくれたボランティアさんの中にも旧統一教会の信者の方がいたかもしれません。
しかし、今回の問題は旧統一教会という組織の運営方法に問題があり、イチ信者との接点を追及することにどれだけの意味があるのかを考える必要があります。
政治家の不祥事は安易に盛り上がるため、いつの間にか論連がすり替わっていることに気が付いている人も少ないのではないでしょうか。
そこで改めてブラック宗教による問題点と改善方法について本気で考えてみました。
政治家の不祥事には一時的に目をつぶるが吉
これに対しては「政治家の不祥事を許すことはできない!」という意見も多数あろうかと思いますが、その問題は本質ではありません。あくまでも今回の問題は先述した「脅迫やマインドコントロールともいえる高額献金要求」であったり、「生まれながらに信仰を強要される子どもたち」です。(旧統一教会に限った話とすれば)
となれば、過去に旧統一教会と関係のあった議員は関係のない議員と比べて内部情報に精通しているので、組織内の問題点、更には何故のその問題点が発生しているのかなど本質的な問題に取り組む際に非常に有益な存在です。
それを感情論で排除することに全力投球をすれば、該当議員が辞職することで溜飲が下がり、本来の問題点は解消されません。
以上の事からも一旦は過去の関係性に対する問題追及は横に置いて、ブラック宗教が抱える問題解消に先陣を切ってもらうことが有益な選択となります。
献金の上限を設ける?
高額献金への対処として寄付額に上限を設けることが議論の軸となっていますが、これはあまり現実的ではないでしょう。
寄付行為のひとつに「お賽銭」があります。毎年多くの参拝者が集まる明治神宮では、このお賽銭だけで年間約9億円にもなります。
ではこのお賽銭は誰がいくら投げたか把握しているのかといえば当然していません。
お賽銭は非課税であり、匿名性の高い寄付行為です。
旧統一教会では振り込みによる献金を行っているいために、誰がいくら献金したのか管理は可能ではありますが、そこに金額の上限を設ければ教会はお賽銭箱を用意して「献金はこの箱の中にお納めください」的なやりとりに切り替えるでしょう。
仮に内部の帳簿では誰がいくら献金したかを管理していても、その資料が外部に出ることは考えられません。だって管理義務がないんだから。
要するに寄付に上限を設けるとなると、お賽銭レベルの寄付行為にまで寄付者情報を紐づけなくてはいけないので、現実味を帯びない話です。
海外の法律を参考に
フランスでは「反セクト法」という法律があります。
セクトという言葉を一言で明確に表現することはできませんが、社会的に警戒を要する宗教団体という意味合いで用いられることが多い言葉です。
反セクト法を端的に解説すると「これまで何度も繰り返し問題を起こしている宗教団体に対して活動規制や処罰を定めた法律」です。
フランスの主たる宗教はカトリック教です。その歴史は複雑でフランス革命や宗教和約、ユダヤ人に対する人種差別など、宗教とくっついては離れという歴史を繰り返した結果、政教分離法を成立させました。
要するに日本とフランスでは宗教の歴史が異なるため、日本でそのまま反セクト法が適用できるわけではありませんが、「繰り返し問題行動を起こしてきた宗教団体」が存在するのか?という調査を行うことは可能です。
これまでブラックボックスゆえに無法地帯となっていた宗教の組織運営に介入した結果、「繰り返し問題行動を起こしてきた宗教団体」が存在するのならば「活動規制や処罰」といった対応は至極当然の話ではないでしょうか。
日本版の反セクト法を制定することを目的とするのではなく、問題が生じている組織に対して調査・介入する際の基本的な手続き(調査→結果→対応)を行えば必然的に日本版反セクト法と考えられる法律が制定されるはずです。
繰り返しになりますが、今回の事件から明らかになったブラック宗教による問題点を明確にすること、そしてその問題解消に向けての議論のゴールが日本版反セクト法の成立です。
地方は何ができる?
地方議員という立場から見ると今回の件は非常に遠い場所の話です。
何故ならば宗教に対する介入は市区町村ではかなり限定されてしまうからです。
市区町村レベルで対応できるのは、児童相談所施設を持つことによる宗教二世の被虐待に対する支援です。
しかし、家庭内で虐待が行われていたとしても、それは仲間内で構成されているコミュニティ内で「善行」として行われています。そうなれば当然通報者などいるはずもなく、宗教による虐待は行政まで情報が届きにくい性質があります。
同時に、家庭内の虐待行為は児童虐待の多い被虐待年齢(4~6歳)と異なり、虐待行為が長期に渡るために被害者が一定の年齢に達しているケースが多々あります。
そこからも被虐待を受ける子どもが自身のおかれている環境を理解できる年となれば、自発的に支援を求めることが可能です。
弁護士等の民間では宗教トラブル相談窓口は数多く存在しますが、相談だけでも有償となるケースが多く、資金面で苦慮する人ほど相談の敷居が高くなるためにその一歩が踏み出せず、問題が放置されてしまうケースが存在することは想像に難くありません。ここからも弁護士など専門家への有償相談という高いハードルの手前に、行政が無償で門戸の広い相談窓口を設けることができれば少なくとも実態把握に繋がることが期待されます。
実態が把握できれば行政による自発的かつ具体的な支援策の策定が可能となります。その為にも地方自治体の宗教トラブル相談窓口は即効性はないかもしれない、それでも長期的な取り組みの第一歩して一定の効果があると期待します。
では、行政の宗教トラブル相談窓口がどの程度あるかと調べてみると、調べる範囲では一つもありませんでした。(もしありましたら情報をお寄せください)
その理由が政教分離の誤った解釈が原因であれば地方議員の出番です。議事録の残る議場で宗教分離の定義を明確化、正しい解釈の元に相談対応の体制づくりを目指すべきです。
改めて問題点の整理
今回の旧統一教会の問題は
- 脅迫やマインドコントロールともいえる高額献金要求
- 生まれながらに信仰を強要される子どもたち
大きく分類すればこの二点です。
この問題点からぶれることなく、解決策を議論することが政治の務めです。そこに対して最近のニュースで取り上げられる「旧統一教会で挨拶をした」とかは正直どうでもいい話です。
もちろんそれにより旧統一教会に対して忖度するような政治を行うのであれば問題でですが、それは宗教に限らず組織や団体であればすべてに該当する話です。
先述した通り、むしろ旧統一教会と関係のある議員であれば組織の内情をある程度理解しているはずです。
もしそこで過度な高額献金や宗教二世の実態の情報を持っているならば、国会でその問題の実態を細部まで議論できるはずです。
それだけある意味貴重な議員を活用するためには、今の議員叩きを見直すことが必要です。
議員叩きは報道量に比例して過熱しますが、逆に報道が沈静化すると問題提起の声を小さくなり、いつの間にかなかったことになる傾向にあります。そうなれば今は関係のある議員を叩くのではなく「旧統一教会と関係あるの?じゃあもちろん問題解決に向けて動くよね?きっと被害者救済に動いてくれるよね!!」などのスターとして持ち上げてプレッシャーをかけ続ける方が効果的ではないかと考えます。
繰り返しになりますが、問題は信者が歪曲した教えによって被害を被っている点です。これをくだらない政局にして与党叩きの材料にしても被害者は誰一人救われないし、今後も同じように被害者は増え続けてしまいます。
問題の調査、発生要因の想定、実態調査、対案検討、対案の課題洗い出し、課題解消に向けての取り組み等々、政治家に実効性のある取り組みを行わせるためには国民のアプローチにも重要な意味を成します。
今回のパフォーマンスに徹している政治家の動きは、これまで日本が積み重ねてきたポピュリズム政治の象徴です。
これほどの大きな日本の政治の問題に対して、今までと同じようなパフォーマンスを繰り返すのならば日本の政治に未来はありません。
明ヶ戸亮太(あけど亮太):経営者×川越市議会議員
現在41歳:川越市議会議員(現在三期目)・広告会社代表取締役・ICTコンサルタント・ファイナンシャルプランナー / JAPAN MENSA会員 / フィジーカー(APF大会、アスリートモデル部門優勝)
マルチタスク・ラボ
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著書:マルチタスク思考
※川越市のプロフィール(川越市HPより抜粋)
川越市は、埼玉県の中央部よりやや南部、武蔵野台地の東北端に位置し、109.13平方キロメートルの面積と35万人を超える人口を有する都市です。
遠く古代より交通の要衝、入間地域の政治の中心として発展してきた川越は、平安時代には桓武平氏の流れをくむ武蔵武士の河越氏が館を構え勢力を伸ばしました。室町時代には、河越城を築城した太田道真・道灌父子の活躍により、扇谷上杉氏(おうぎがやつうえすぎし)が関東での政治・経済・文化の一端を担うとともに、河越の繁栄を築きました。江戸時代には江戸の北の守りとともに舟運を利用した物資の集積地として重要視されました。
大正11年には埼玉県内で初めて市制を施行し、昭和30年には隣接する9村を合併し現在の市域となり、平成15年には埼玉県内で初めて中核市に移行しました。
川越市は、都心から30キロメートルの首都圏に位置するベッドタウンでありながら、商品作物などを生産する近郊農業、交通の利便性を生かした流通業、伝統に培われた商工業、豊かな歴史と文化を資源とする観光など、充実した都市機能を有しています。現在も、埼玉県南西部地域の中心都市として発展を続けています。
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