『映画 えんとつ町のプペル』はなぜ大ヒットしたのか?

観客動員100万人、興行収入14億円を突破の大ヒット

『映画 えんとつ町のプペル』が1月18日時点で観客動員100万人、興行収入14億円を突破の大ヒットとなりました。
本作品はお笑いコンビ・キングコング西野亮廣さんによる絵本「えんとつ町のプペル」が原作としたアニメーション映画です。

公開日(12月25日)から一ヶ月弱でこれだけの数字をたたき出した原作絵本の映画作品は国内で過去に類を見ないのではないでしょうか。

本作は、厚い煙に覆われた「えんとつ町」を舞台に、星を信じる少年ルビッチと、ハロウィンの夜にゴミから生まれたゴミ人間プペルが「星を見つける旅」へと出る物語。

これだけのヒットとなった作品の裏側はどうなっているのでしょうか。
そこには西野さん独自のブランディングが隠されています。

作品の特徴

まず、ボクが本作を観て思った事はネットで目にする評価とほぼほぼ同じでした。

とにかく画がキレイ!

もはや絵ではなく、アングルや効果音などフルにこだわったアニメーションは観る者を惹きつける演出でした。

アニメーション制作会社はSTUDIO4°C。
STUDIO4°Cについて調べてみると次のように紹介されていました。
『“挑戦的”、“ハイクオリティ”、“エッジ”を掲げてきたアニメ制作集団』

かっこいい、、、 正直な話、ボクはアニメのことはよくわからないのですが、それでもSTUDIO4°Cの作品集などを観ると先進的なアニメーション作成に注力していることがわかりますし、声が出るほどスリリングな演出に感銘を受けました。今回の『映画 えんとつ町のプペル』の惹きつけるプロモーションの源泉はここにあるのだろうと感じました。
STUDIO4°C作品集

ストーリーの魅力

そしてストーリーについて。まずは本作品のストーリー紹介を引用します。

信じて、信じて、世界を変えろ。
厚い煙に覆われた“えんとつ町”。煙の向こうに“星”があるなんて誰も想像すらしなかった。この町でただ一人、紙芝居に託して“星”を語っていたブルーノの息子・ルビッチは、父の教えを守り“星”を信じ続けていた。しかし、ルビッチは町のみんなに嘘つきと後ろ指をさされ、ひとりぼっちになってしまう。そしてハロウィンの夜、ゴミから生まれたゴミ人間・ プペルが現れ、のけもの同士、二人は友達となり、ルビッチとプペルは「星を見つける」旅に出ると決意する。父を信じて、互いを信じあって飛び出した二人が、大冒険の先に見た、えんとつ町に隠された驚きの秘密とは?


原作は新R25で無料公開されているので、本作を観に行く方の多くは事前に絵本もご覧になっていると思います。
大ヒット中の絵本『えんとつ町のプペル』を全ページ無料公開します(キンコン西野)

今回の映画はオリジナルストーリーではなく、「絵本のストーリーに肉付けをした」内容となっています。

絵本では表現しきれなかった演出をアニメーションという技法の中で伝えたのでしょう。

そして、肝心のストーリーについては、

凡作

というのが率直な感想です。

これは批判的な意味ではなく、西野さんという常にトリッキーな仕掛けを組み込んでくる原作者が打ち出した作品では、という意味です。

事前の情報では多くのファンやインフルエンサーの感涙を誘うストーリーが高い評価を得ていましたが、「絵本を読んだ人」という条件を付けるのならば作中の感涙演出はすべてテンプレの継ぎ接ぎであり、そこにオリジナリティは何一つありませんでした。※繰り返し言いますが西野さんの初映画という期待値が高かったこともあっての感想です。

ではなぜここまで繰り返し同じ映画を見に行く人が頻出したり、インフルエンサーと呼ばれる人たちがこぞって高評価を付けたのでしょうか。

大ヒットの要因はストーリーそのものではない?

西野さんのファンの間では『映画 えんとつ町のプペル』を繰り返し観に行く、〇プペ(〇の中に見に行った回数が入る)という言葉が流行っています。

この方たちは純粋に作品を楽しんでいるのかというとどうでしょうか?どれだけ面白い作品でも10回も映画館に足を運ぶのはあまりありませんよね。

でも、もし自分が映画製作に関わっていれば2回や3回は行くのかもしれません。

西野さんは作品を売り出すとき、ストーリーを大切にしてきました。そして『映画 えんとつ町のプペル』という作品を生み出す過程をストーリーとして多くのファンを巻き込んできたことから、ファンを映画製作に関わった一員と位置付けることで多くのリピーターが生まれたのではないかと考えます。

ただ、この手法では興行収入から作品の動員数をユニークカウントできないため、映画作品の純粋な動員数でディズニーを超えるという目標は先送りになってしまいますね。

徹底したブランディング

先ほどストーリーは凡作と表現をしましたが、その凡作で興行収入14億円を突破する大ヒットとなったのはなぜでしょうか。
それは西野さんの徹底したブランディングだと考えます。

映画という作品はどれだけ素晴らしいものでも、観てもらわなくては意味がありません。

そこに向けて西野さんは「プペルファン」を生み出すために製作過程から巻き込むクラウドファンディングなどのオンライン戦略から、地道に足を使ったプロモーションを徹底してきました。

人は些細な事でも関わることで仲間意識を醸成します。まさにクラウドファンディングはこの心理を刺激するのに最適です。

クラウドファンディンで支援することで共同意識が生まれ、作品の当事者となり、作品への思い入れはより一層強まります。
これは一例ですが、オンラインサロンやそこから付随する活動を通して西野さんはあらゆる仕掛けで多くのファンを生み出し強い結束力を創り上げています。その仲間意識から『〇プペ』という言葉が生まれ、興行収入14億円という数字を出したのではないかなと考えています。

とにかく圧倒的なブランディングは映画のみならず、あらゆる分野で修得すべきスキルです。

そのような意味では今後の西野さんのブランディング戦略は注視したいと思います。

まとめ

『映画 えんとつ町のプペル』を半分ディスるような記事となりましたが、決してそんなつもりはありません。あくまでも西野さんという先駆者が打ち出す作品に高い期待があったからです。

ただ、作品のストーリーに目新しいものが無いのは事実であり、妄信的なファンが「西野さんの作品だから『映画 えんとつ町のプペル』は10点満点」となってしまうのは違うかなと思っています。

冷静にモノの良し悪しを判断できなくなっては、それこそ(その世界でしか)価値のないものを売りつける新興宗教と変わらなくなってしまいます。

有形無形問わず、対象物に適正な価値を見出せなくては生きづらい世の中です。

西野さんだから面白い!西野だからつまらない!という斜に構えた見方ではなく、フラットな気持ちで作品を楽しみましょう!


明ヶ戸亮太(あけど亮太):経営者×市議会議員
現在39歳:川越市議会議員(現在三期目)・広告会社代表取締役・ICTコンサルタント・FPのマルチタスク / JAPAN MENSA会員
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