ソーシャルメディア(SNS)が選挙をどう変える?影響力と問題点を徹底解説

はじめに

陳腐な言い方ですが、私たちの生活はソーシャルメディア(以下SNS)によって大きく変わりました。それは自分たちのライフスタイルを発信するだけでなく、情報を収集し、意見を交換し、政治に参加する方法にも大きな影響を与えています。

特に選挙において、SNSの影響力は急速に増大しています。それは候補者の選挙戦略に新しい選択肢を生み出し、国政選挙ではその選択によって選挙結果を左右する力を持つまでになりました。

この記事では、SNSが選挙にどのような影響を与えているのか、そしてその影響が私たちの民主主義にどのような意味を持つのかについて探っていきます。具体的な事例を通じて、SNSが選挙キャンペーンにどのように使われているかを見ていきましょう。また、これに伴う問題点や、将来的な展望についても考察していきたいと思います。

SNSは現代社会における新たな交流の場となり、議員と有権者が直接対話できる場として馴染みつつあります。それが選挙にどのような影響を与えているのか考えていきましょう。

SNSの台頭

SNSの普及は近年で急速に広まりました。特にFacebook、Twitter、Instagram、YouTube、最近ではThreadsなどのプラットフォームは、私たちが情報を共有し、人々とコミュニケーションを取る方法を一変させました。これらのプラットフォームは私たちの日常生活におけるコミュニケーションツールだけでなく、最新の情報、いわゆるニュースを取得する主要な源泉にもなりました。

SNSの台頭は、政治の世界に大きな影響を与えています。従来、国政政党による選挙戦略(厳密にいうと政治活動)は新聞やテレビといったマスメディアを通じて行われていました。しかし、SNSの普及により、国会議員に限らず地方議員も自らのメッセージを直接有権者に伝える新たな方法を手に入れました。

これにより、議員は伝統的なメディアを介さずに、自分たちの政策・ビジョン・人間性を有権者に直接伝えることが可能になり、さらにSNSは双方向性という性質を持つため、議員と有権者との間で直接的な対話を生むことを可能としました。これは従来の一方向的な発信とは大きく異なり、人と人との温かみを生み出し、選挙戦略にも新たな要素をもたらしました。

SNSと選挙戦略

SNSは選挙戦略の展開に大きな影響を与えています。

これらのプラットフォームを通じて、候補者は自身の政策やビジョンを有権者に直接伝えることが可能となりました。また双向性のあるコミュニケーションツールとして、SNSは候補者にとって有権者の意見や関心を直接聞き取る手段としても機能します。要するにこれまでアウトプットに偏っていた取り組みに新たにインプットの要素が組み込まれたということです。

特に、TwitterやFacebookは候補者が自分のメッセージを即時に共有し、これまで繋がりのなかった潜在的な有権者と直接的な対話を行うプラットフォームとして広く利用されています。

また、InstagramやTikTokのようなビジュアル中心のプラットフォームは、候補者のプライベートな側面を共有し、舞台裏を描写することで有権者との親近感を作り上げるのに役立っています。

さらに、SNSは政治広告の形も変えています。選挙キャンペーンは、有権者の嗜好に合わせてパーソナライズされたメッセージを送るための広告プラットフォームとしてSNSを活用しています。

これにより候補者は特定の有権者層にピンポイントでアピールすることが可能になった反面、候補者の資金力に左右されるデメリットも共存していると同時に、透明性と公平性についての問題も生じさせています。

候補者がどのようなメッセージをどのような有権者に送っているのかは、しばしば不透明であり、これが公平な選挙を損なう可能性もあります。この問題は、SNSと選挙の関係性を考察する上で欠かせないポイントとなります。

SNSの影響と問題点

SNSが選挙に及ぼす影響は、その利点と欠点の両方を明らかにしています。

一方で、SNSは有権者と候補者との間のコミュニケーションを改善し、特に若い世代の政治参加を促進しています。有権者は、候補者の政策やパーソナリティをより深く理解することができ、親近感を抱くと同時に自分の意見や問題を直接候補者に伝えることで新たな政治参画の道を生み出しています。

しかし、他方でSNSは情報の信頼性と公正性に関する一連の問題を引き起こしています。フェイクニュースや誤情報が広まりやすく、悪意あるネガティブキャンペーンが一瞬で拡散される恐れがあります。その影響は選挙の結果に深刻な影響を及ぼす可能性がありますし、どのようなメッセージがどのような有権者に送られているのかを把握するのは困難です。これは公正な選挙を損なう可能性があることも忘れてはいけません。

さらに、SNSは「エコーチェンバー」を生むという問題も生じさせています。
これはユーザーが自分の意見や信念を反映する情報だけを受け取り、異なる意見に触れる機会が減少する現象を指します。この結果、自分にとって都合の良い意見ばかりに触れることとなり、他の意見との分断が深まり、公平性ある公共の議論と理解が困難になる可能性があります。

以上のような問題は、SNSが民主主義にどのような影響を与えるかについて深く考えるきっかけとなります。

事例研究

SNSと選挙の関係性を具体的に理解するために、具体的な事例を見てみましょう。その一つが、2008年と2012年のアメリカ大統領選挙でバラク・オバマ候補が活用したソーシャルメディア戦略です。

オバマ陣営はFacebookやTwitterを用いて有権者と直接対話し、資金集めを行い、選挙活動を組織しました。これにより、特に若い世代の有権者からの支持を広く集めることに成功しました。(一説ではひと月に3600万ドルの資金を調達したと言われています)

また、2016年のアメリカ大統領選挙では、ドナルド・トランプ候補がTwitterを効果的に活用しました。彼は自身の直接的で過激的なメッセージを頻繁にツイートし、大衆メディアを通さずに有権者に直接アピールしました。その結果、彼のメッセージは広く共有され、大きな注目を集めました。

しかし、2016年の選挙ではSNSが誤情報の拡散や外国からの選挙干渉に利用されるという問題も浮上し、これらの問題はSNSが選挙に与える影響についての議論を深め、SNSの規制や透明性の向上が必要だという認識を高めました。

これらの事例は、SNSが選挙戦略にどのように組み込まれ、どのような影響を及ぼすかを示しており、同時にSNSの利用に伴う問題とその解決方法についての議論を続けるきっかけにもなりました。

SNSの役割と未来

SNSは今後も選挙戦略、政治活動の重要なツールとなることは間違いありません。
その直接性と双方向性は、有権者と議員(候補者)との対話を可能にし、選挙活動をよりパーソナライズしつつも効率化する手段を実現しています。しかし、その利用は適切に管理され、誤情報の拡散や不公正な選挙活動が防止される必要があります。

将来的にはSNSの透明性と説明責任の強化が期待されます。これには、選挙広告のソースや資金源を明確かつ限定的にする、誤情報を探し出して削除する、ユーザーが自分がどのような情報を受け取っているのかを理解できるようにする、などの取り組みが含まれるでしょう。

また、新しい技術やツールが登場し、それらが選挙戦略の方法を変える可能性もあります。

例えば、AI(人工知能)は、選挙戦略のメッセージをより大量生産化するために使われるかもしれませんし、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)は、新たな選挙活動の形を生み出す可能性があります。ちなみに私は3年前にVRで後援会事務所を生成しましたが、当時はまだVRツールのアカウントが普及していないこともあり身内だけの集まり程度の利用しかできませんでしたが、これからは誰でも出入りして意見交換のできる空間になると予想しています。

これらの変化はSNSが選挙と民主主義にどのように影響を与えるかについての議論を続ける必要性を強めています。SNSが選挙にどのように影響を与え、その影響が政治にどのような効果をもたらすのか。今後ますます注視しなくてはならないテーマと言えるでしょう。

まとめ

SNSアは近年の選挙戦略の展開方法を大きく変え、それは選挙の結果にも影響を与えています。
その直接性と双方向性は、使い方次第では候補者と有権者との間のコミュニケーションを改善し、個々の有権者へのアピールをより効果的にする手段です。

しかし、その一方でSNSの利用は誤情報の拡散、エコーチェンバーの形成、不透明な広告戦略などの問題を引き起こしています。さらにたちが悪いのはそのような問題を逆手に悪用する層も増えることが予想されます。

これらの問題は選挙という審判制度に重要な影響を与える可能性があり、適切な管理と規制が噴出する可能性も否めません。

将来的には新たな技術の発展に伴いSNSの役割はさらに進化するでしょう。その進化に対応しながら、公正で透明性のある選挙活動を維持するための方法を見つけることが重要となります。これは何も候補者だけではなく、有権者にもその意識が必要なことを理解しておいてください。

SNSが選挙に及ぼす影響は、私たちが今後も注視し続けるべき重要なテーマです。その影響を理解し、適切に対処することで、私たちはより健全で公正な民主主義を維持することができるでしょう。


明ヶ戸亮太(あけど亮太)
1981年生まれ:元 川越市議会議員(三期)・広告会社代表取締役・ICTコンサルタント・ファイナンシャルプランナー / JAPAN MENSA会員 / フィジーカー(APF大会、アスリートモデル部門優勝)
マルチタスク・ラボ
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著書:マルチタスク思考

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