議員定数を削減しない方がいい理由

議員定数削減のメリットとは?

定期的に議論のテーブルに上がる「議員定数削減論」。

その主な理由は「経費削減」ですが、実はそれ以外の理由も複数存在します。

まずは「全国町村議会議長会政審幹事会小委員会」において取りまとめられている議員定数削減のメリットを整理してみましょう。

  • 意見がまとめやすく、議事の効率的が進められる。
  • 減少した議員数で議会運営がなされてるため、審議時間が短くなり効率的な運営に繋がる。
  • 議員定数を減らすことで、選挙においてより多くの支持(得票数)を必要とすることになり、広域的な視野を持つことができる
  • 議員定数を削減することで経費節減になる。
  • 執行機関も経費節減をしているのだから議会も行改の一環として減少の必要がある。

上記が取りまとめられた考え方です。
これを更にまとめると、

1、2=議会運営の円滑化
3=議員の視野を広げること
4、5=予算削減

この三つにまとめることができます。

では議員定数削減を行うことでこのメリットを生み出すことができるのでしょうか?

議員が減れば議論は円滑化される?

「1、2=議会運営の円滑化」は議員数が減ることで議会運営の円滑化が図れるということですが、実際に議員定数が少ない地方議会を見てみましょう。例えば村議会。人数でいえば10人~14人程度です。

人数が少なければ議論が成熟されないものではないので、村議会であっても政治的なテーマで議会が空転することもあります。その他にも賄賂など議員の不祥事によって議会運営に支障が生じた例は数知れずです。

要するに議員人数が減れば円滑化されるというのは妄想であり、むしろ人数が減れば権力が集中して汚職に繋がる恐れだってあります。

ここで指す議会運営の円滑化が時間的な意味合いも含めるのならば、最終的には人数ではなく議員の質が課題であることが分かりますね。

視野をどこまでも広げることができる?

「3=議員の視野を広げること」はどうでしょうか。

人数が減れば選挙で当選するために必要な票は増えます。分母が減るので当然ですね。
では、議員がより多くの票を獲得する経過において視野を広げるかといえば、これは多分広がると思います。

しかし、一人の議員に5を求めるのか、それとも10を求めるかによってその密度は間違いなく変わります。

ある程度集中して課題に取り組むのであれば、むやみやたらに視野を広げるのではなく、ある程度限定された地域や課題に向き合う方が質の良い活動に繋がります。

勉強だって同じで、1日の中で4教科も5教科も詰め込むよりも、教科を絞って勉強した方が深い学びが得られるものです。

とはいえこの課題はこれから記載する「予算削減(議員に対する人件費)」との関係が作用していると考えます。と言うわけで4、5の予算削減について考えてみます。

議員が減れば人件費が減るのは間違いないが、、、

議員定数削減のメリットで最も注目されるのはやはり予算削減ではないでしょうか。(議員に対する人件費の削減)

これは非常に分かりやすいですね。
議員には報酬だけではなく、政務活動費や視察費など、あらゆる面でお金がかかっています。

その為、一人削減するだけで結構な予算が確保できるのも確かです。
その数字に焦点を当てれば、経費縮減の観点から議員定数の削減が定期的に話題に上がるのも納得です。

しかし、議員定数が削減され生じるメリットは経費削減だけです。
それ以外のメリットは根拠が乏しく、「なんとなくそうなるんじゃない?」程度のものです。

とはいえ議員にかかる予算を削減しなくては自治体的にやっていけない、となれば、議員報酬の削減がよりベターな対策であると考えます。

30人いる議会で議員一人1/3の議員報酬(政務活動費も一緒に)を削減すると、10人分の議員定数を削減するのとほぼほぼ同等の予算削減に繋がります。

今の社会は非常に複雑です。
そんな複雑化した社会において、議員の数を減らすことはますますマイノリティの声が政治に届かなくなる環境を作り上げてしまいます。

これは選挙制度にも関わることですが、候補者の少ない選挙は必然的に多数派を占める高齢者層をいかに獲得するかが肝となります。(この辺りは追って別記事で記載します)

だからこそ議員定数の削減には一定の課題も含まれていることを念頭に置いておかなくてはいけません。

より広い層の声を拾い上げるためにも、予算削減=議員定数削減、ではなく、様々な選択肢の中から、よりベターな答えを見つけ出していきたいと思います。


明ヶ戸亮太(あけど亮太):経営者×市議会議員
現在40歳:川越市議会議員(現在三期目)・広告会社代表取締役・ICTコンサルタント・ファイナンシャルプランナー / JAPAN MENSA会員 / フィジーカー(APF大会ベスト8)
マルチタスク・ラボ
Twitterアカウント
著書:マルチタスク思考

※川越市のプロフィール(川越市HPより抜粋)
川越市は、埼玉県の中央部よりやや南部、武蔵野台地の東北端に位置し、109.13平方キロメートルの面積と35万人を超える人口を有する都市です。
遠く古代より交通の要衝、入間地域の政治の中心として発展してきた川越は、平安時代には桓武平氏の流れをくむ武蔵武士の河越氏が館を構え勢力を伸ばしました。室町時代には、河越城を築城した太田道真・道灌父子の活躍により、扇谷上杉氏(おうぎがやつうえすぎし)が関東での政治・経済・文化の一端を担うとともに、河越の繁栄を築きました。江戸時代には江戸の北の守りとともに舟運を利用した物資の集積地として重要視されました。
大正11年には埼玉県内で初めて市制を施行し、昭和30年には隣接する9村を合併し現在の市域となり、平成15年には埼玉県内で初めて中核市に移行しました。
川越市は、都心から30キロメートルの首都圏に位置するベッドタウンでありながら、商品作物などを生産する近郊農業、交通の利便性を生かした流通業、伝統に培われた商工業、豊かな歴史と文化を資源とする観光など、充実した都市機能を有しています。現在も、埼玉県南西部地域の中心都市として発展を続けています。
市内エリア:本庁管内、芳野地区、古谷地区、南古谷地区、高階地区、福原地区、山田地区、名細地区、霞ケ関地区、霞ケ関北地区、大東地区、川鶴地区

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