立候補者が食い物にされる現行の選挙制度

なぜ選挙では実績よりも知名度を優先するのか

任期満了により今秋までに執行される衆議院議員選挙。

政界もメディアもピリピリしはじめるこの時期、各地で多様な候補予定者が名乗りを上げています。

参議院から鞍替えする人、地方議員を辞してチャレンジする人、または民間企業から転向する人。

輝かしい功績を持つ方々が多い中、その中でも異色を放つ候補予定者が数多くいるのも事実です。

ある程度の知名度はあれど、これまで一切の政治活動をしてきたわけでもなく、過去の活動では政経に長けているジャンルに身を置いていたわけでもない人たちです。

政治・選挙の経験がなければ自身の当落予想は立てられずとも、擁立する政党であれば勝算が限りなく薄いことは理解しているはずです。

それでも何故、政党は経験や実績よりも知名度を優先して擁立をするのでしょうか。その理由は現行の選挙制度に問題があります。

小選挙区比例代表並立制で効果的な人海戦術重視

日本の衆議院選挙では小選挙区比例代表並立制という制度を導入しています。

これは、小選挙区制と比例代表制を兼ね合わせた制度となっており、一つの選挙において二つの方法で当選することができる歪んだ制度となっています。

詳細は以下の動画で詳しく説明していますので、お目通しください。

動画でも触れていますが、小選挙制では個人で投票、比例代表制では政党名で投票をします。

仮に田中さん(仮名)がA党公認で小選挙区に立候補したとしましょう。
田中さんがA党として小選挙区を戦うことで、自ずとA党の認知度は向上し、比例区で議席確保の確率が向上します。

要するに小選挙区での候補者が選挙活動に汗をかけばかくほど政党名が浸透し、比例代表において有利な結果となるのですが、N国党の立花孝志氏がこの戦略を用いて参議院選挙で一議席獲得したのは有名な話です。

仮にA党が比例代表名簿に山田太郎さん(仮名)を単独一位で登録をしたとします。
その比例代表エリア内でAさんを除く候補者を小選挙区に4名擁立して選挙に臨んだとしましょう。

例え小選挙区で立候補した候補者4名がすべて落選したとしても、そこで獲得した「政党認知度」は比例代表制では生き票となり、比例名簿一位に登録した候補者を当選させることが可能です。

その為、政党は一名の当選率を向上させるには、当選できなくても良いので地名度が高い候補者を数多く擁立し、政党の認知度を高めることで比例代表区の一名を獲得することに繋がります。

政治的資質より量と知名度

以上のことから、比例区で一名当選を目指すならば、小選挙区に大量擁立→比例名簿一位に当選させたい候補者名を記載。この方法が最も効果的です。

もちろん比例代表でも一議席を獲得するのは多くの候補者を擁立する必要があるため、それだけの人材を確保するだけでも難航するものですが、戦略の一つとして効果的であることは間違いありません。

しかし、選挙の度にこの仕組みを十分に理解していないまま流されるように多額の資金を要する小選挙区で立候補し、集票マシーンのように扱われる候補者を見るとなんとも表現しにくい感情を抱きます。

これは小選挙区比例代表並立制の大きな欠陥であり、早急に改善をすべき事項であると考えます。

選挙は政策を通して候補者の政治に対する資質と姿勢を問う場です。
制度改正を通して政治の健全化を図っていく、これは何も国政だけではなく地方にも言えることではないでしょうか。


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現在40歳:川越市議会議員(現在三期目)・広告会社代表取締役・ICTコンサルタント・FPのマルチタスク / JAPAN MENSA会員
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