議員報酬が高額なことは何故問題視されるのか?

活発化する「高額な議員報酬」の議論

選挙中に免許停止期間中にもかかわらず交通事故を起こし、逃走を図った木下都議(2021.11月現在)や、一日の在日期間で月額100万円の文書通信交通滞在費が支給される国会議員の厚遇などを受け、議員とカネの問題が議論のテーブルに上がり、高額な議員報酬が注目を集めています。

そこで、今回は議員報酬が高額である必要性、または高額であるがゆえに生じる弊害について、解説をしていきます。

議員報酬が高額であるべき理由

まず、高額と言われる議員報酬を適正金額であるという主張についてその根拠を調べてみました。

そこで、岡崎市議会の報酬を上げる際に議論された審議会での議事録を確認しました。→第2回岡崎市特別職報酬等審議会会議録

この審議会では全国的に行われている議論と同等の内容と判断し、参考として取り上げさせていただきます。

抜粋すると、

  • 他市と比べて議員報酬が低いから報酬を上げる
  • 議員報酬が低いと議員とは別に稼業が必要となり、市政の停滞を招く

主なポイントはこの二点でしょうか。
その他にも頻繁に理由に上がるのが、

  • 報酬が低くては優秀な人材が集まらない

などと言った理由を目にすることもあります。
どれも一見すると「なるほど」と言える気もしますが、果たしてこれらの理由は国民の理解を得られるのでしょうか?

議員報酬はもっと低くあるべきという理由

現在の議員報酬に対して、議員報酬はもっと低い金額であるべきだという主張もあります。

その主な理由は、

  • 国民感覚とかけ離れる
  • 報酬目当ての職業政治家が増える

などが挙げられます。
先の「議員報酬は今のまま(高額設定)で良い」派と同じく、やはりこちらも「なるほど」と頷くことができる理由です。

民間の給与は景気に左右されるため、コロナ禍のような世界的経済ダメージを負った昨今、議員のような役職に付随する報酬制度は国民感覚とかけ離れる危険性を含んでいるのも事実です。

それらを踏まえ、この理由は否定することはできません。

天秤にかけた結果、導き出される答えは?

双方の理由はそれぞれ頭ごなしに否定できるものではありません。それぞれの理由に想定しうるメリットとデメリットが内包されているからです。

そして制度を設ける最終的な決定権を持つのは議会となるため、議員報酬と受理する側と制度を最終決定する側である議員にとってメリットを実感できる制度に決定打が下るのは当然の流れと言えます。

その為、議員報酬は一般的な経済感覚と比べ高額となっているのが現行制度の仕組みです。

しかし、政治家は国民の選択(投票)のもと選ばれてる人種であるために、国民感覚とかけ離れてしまうのは必要な政治と実行される政治との乖離を生み出すことも危惧されるモノと考えます。

議員報酬が高額でもよいロジックは成り立つのか?

基本的にはボクは報酬に見合う働きをしていれば高額であることに批判的な立場ではありません。
しかし、それは平時の話であり、コロナ禍の昨今では同じようなロジックは成立しないと考えます。

そこで、議員報酬が高額であることを是とする理由に考えを述べたいと思います。

→他市と比べて議員報酬が低いから報酬を上げる
これはそもそもの他市の報酬額設定が適正である根拠がなくては成立しない理屈です。

→議員報酬が低いと議員とは別に稼業が必要となり、市政の停滞を招く
昨今、政府すら副業の推進を行っています。それは副業を持つことで安定した賃金を得るのみならず、スキルの幅を広げることを推奨しているので、議員だけが特別扱いと言うことは成立しません。

→報酬が低くては優秀な人材が集まらない
多くのスタートアップは設立当初は低賃金、過重労働で事業を発展させてきました。「報酬が低い=能力の低い人材しか集まらない」は根拠のない理屈です。

端的に書きましたが、以上の理由から現状の議員報酬が高額であり、見直しをする時期に来ているなとボクは感じています。

もちろん報酬を下げればすべてが解決するわけではありませんが、経済とは切っても切り離すことができない政治の世界に身を置く以上は経済情勢を肌で感じる必要があります。

更には国民に理解を得るためには同じ完成を持ち合わせることは最低条件であり、これらの理由より議員報酬については今後より深い議論をまずは国から行っていただく必要があると考えます。※人事院制度の都合上


明ヶ戸亮太(あけど亮太):経営者×市議会議員
現在40歳:川越市議会議員(現在三期目)・広告会社代表取締役・ICTコンサルタント・ファイナンシャルプランナー / JAPAN MENSA会員 / フィジーカー(APF大会ベスト8)
マルチタスク・ラボ
Twitterアカウント
著書:マルチタスク思考

※川越市のプロフィール
川越市は、埼玉県の中央部よりやや南部、武蔵野台地の東北端に位置し、109.13平方キロメートルの面積と35万人を超える人口を有する都市です。
遠く古代より交通の要衝、入間地域の政治の中心として発展してきた川越は、平安時代には桓武平氏の流れをくむ武蔵武士の河越氏が館を構え勢力を伸ばしました。室町時代には、河越城を築城した太田道真・道灌父子の活躍により、扇谷上杉氏(おうぎがやつうえすぎし)が関東での政治・経済・文化の一端を担うとともに、河越の繁栄を築きました。江戸時代には江戸の北の守りとともに舟運を利用した物資の集積地として重要視されました。
大正11年には埼玉県内で初めて市制を施行し、昭和30年には隣接する9村を合併し現在の市域となり、平成15年には埼玉県内で初めて中核市に移行しました。
川越市は、都心から30キロメートルの首都圏に位置するベッドタウンでありながら、商品作物などを生産する近郊農業、交通の利便性を生かした流通業、伝統に培われた商工業、豊かな歴史と文化を資源とする観光など、充実した都市機能を有しています。現在も、埼玉県南西部地域の中心都市として発展を続けています。
市内エリア:本庁管内、芳野地区、古谷地区、南古谷地区、高階地区、福原地区、山田地区、名細地区、霞ケ関地区、霞ケ関北地区、大東地区、川鶴地区

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